ソウル市内を移動する中で見えてくる思いやりのかたち


韓国の文化と社会を実感するために、私はインターン期間中、積極的に街へ出かけている。インターンシップで拠点としているホンデ(弘大)は、若者が多く集まる賑やかな街で、観光客も多く訪れる場所である。道を歩く度、様々な言語が聞こえてくるのが印象的だ。そんな街を歩く中で、移動に関する工夫や配慮が多いことに気が付いた。外国人でもわかりやすい案内や、寒い冬でも快適に過ごせる設備など、利用者への思いやりがたくさん詰まっている。今回は、ホンデ周辺を中心に、韓国で私が発見した移動に関連する工夫について紹介する。具体的に歩行中、バス、地下鉄の三つの場面に分け、それぞれの特徴を取り上げていく。

【歩行中に見られた工夫】

まず目を引いたのが、歩行者用信号機だ。韓国の横断歩道に設置されている一部の信号機は、青信号と赤信号のほかに、青信号の残り時間を秒数で示してくれる。秒数という、誰にとっても想像しやすい基準を示すことで、横断歩道を渡り切れるのかが理解しやすく、無理に渡ろうとする歩行者などを減らすことに貢献していると感じた。目盛で残り時間を示してくれる信号機は日本で見たことがあるが、韓国にあるような青信号の秒数まで表示する信号機は見たことがなかったため、非常に新鮮だった。

加えて、ホンデでは、足元に現在の信号が青なのか赤なのかがわかるライトが設置されているところがあった。最近はスマートフォンの利用により、視線が下がりがちな歩行者も多い中で、そうした人でも足元の光で信号が変わったことに気付けるようになっている。上部に設置された信号だけでなく、現代人の行動に合わせて足元にまでアプローチする姿勢が画期的だと感じた。

 


また、夜の道には注意事項などを示す光の案内が表示されている場所もあった。光の案内は足元に映し出される仕様となっていたため、話に夢中になって歩いていても目に入りやすい状態で、非常にありがたい仕組みであるといえる。

 

 

【バス利用中に見られた工夫】

バス停にも、利用者への優しさがあふれていた。まず、バス停にはバスの到着予定時間を表示する掲示板が設置されている。これにより、あとどのくらいでバスが来るのかをリアルタイムで確認することができる。韓国は、複数の種類のバスが短い間隔で1つのバス停に停まるため、慣れていないうちは自分が乗りたいバスに正しく乗ることができるのか不安になってしまう。そんな中、到着時刻がわかる掲示板が設置されていると少し安心できる。

 

 

さらに、冬の韓国で感動した設備が、暖房機能のあるベンチである。実際に座ってみると椅子の部分がじんわりと温かく、韓国のとても寒い冬の中、この椅子のおかげで快適にバスを待つことができた。利用者への思いやりを感じられるあたたかい設備だった。

 

 

【地下鉄で見られる工夫】

地下鉄も、初めての人にとって優しい作りになっている。まず、ソウルの地下鉄の路線の大半は「1号線」「2号線」と数字で管理され、それぞれ色分けもされている。韓国語に慣れない観光客でも、色と数字を追えば迷わず移動できるデザインで、非常に分かりやすかった。加えて、大半の路線が色と数字で区別されているからこそ、乗換案内の表示が整頓されており、見やすかったのも印象的である。

 

 

また、車内では韓国語以外に英語や日本語など複数の言語で音声案内が流れ、モニターにも大きく行き先が表示される。耳で聞いても目で見ても目的地が確認できるため、外国人や初めて利用する人にとって大きな助けとなっていると考えられる。

 

まとめ

ホンデ周辺を中心にソウルを歩き、移動に関する様々な工夫を観察してみて、街全体に「移動しやすくしよう」という配慮がちりばめられていることに気づいた。歩行者、バス利用者、地下鉄利用者のそれぞれの立場に向けた配慮があり、ひとつひとつが地元の人だけではなく私たちのような外国人にとっても非常に助かるものだった。こうした移動に関連した利用者目線のやさしさのある工夫は、韓国の大きな魅力の一つだと感じた。

行動範囲の関係で、まだ見つけられていない工夫が多くあると推測している。帰国のその日まで、様々な発見ができるように街を観察していきたい。                                     記者:新島すみれ(埼玉大学)