世界で愛される韓国ドラマの強さ ― 配信時代を制する設計と進化

1.はじめに

ドラマは、世界の配信時代でよく見つかり、最後まで見やすい設計を武器に、長く愛されるジャンルである。際、業界調査ではNetflixでの視時間の約89%を韓作品が占め、米以外では最も人という結果が出てい。さらに非米の人上位500作品の17%(85本)が韓で、単発ムではなく厚みのある供給がいてい。配信各社の長期投資(Netflix20242028年で25億ドルコミット)や、大手(CJ ENM20258.18億ドル規模のコンテンツ投資)も、こうしたさを下支えしてい

2.本文

配信の時代になってから、韓国ドラマはまず「見つけやすい」うえに「最後まで見やすい」という強みを持っている。新しい作品が世界で同じ日に公開され、いろいろな言語の字幕も最初から用意されるので、国や言葉が違ってもすぐ視聴できる。公開直後には各国のSNSで感想や考察が一気に広がり、話題になった一本をきっかけに、同じ国の過去作や別ジャンルの作品まで見られるようになる連鎖が起きやすくなる。実際に、韓国ドラマは配信サービス全体の中でも安定して多く見られていて、人気作の層が厚いことが特徴である。一本の超ヒットが、その国の作品カタログ全体を探してみよう、という気持ちを視聴者に生ませるのである。

物語の作り方にも工夫がある。以前は16話が主流でしたが、今は812話くらいの短くて中身の濃いシーズンが増えた。短くするのは単にお金を減らすためではない。脚本の段階で「何を描かないか」まで厳しく選び、物語の山場や次の回へ続く仕掛けをはっきりさせることで、途中でだれずにテンポよく進む。こうすると完走率(最後まで見てもらえる割合)が上がり、「一気見」もしやすくなる。物語を短くきれいに締めるので、あとからスピンオフや特別編、続編などを柔軟に広げることもできる。さらに、配信のしかたも大事である。全話まとめて出すのか、毎週12話ずつ出すのか、前半一気出し+後半は毎週、という形にするのか。各国の連休やイベントに合わせて公開タイミングを調整し、SNSで話題が高まる山を計画的につくっている。

音楽(OST)の力も見逃せない。作曲家は登場人物の気持ちや場面の流れに合わせてテーマ曲を作り、同じメロディでも速さや楽器、調子を変えて何度も登場させている。視聴者はそれを無意識のうちに手がかりにして感情をたどり、場面の記憶が強くなる。曲は単体でも人気が出やすく、プレイリストや短い動画で何度も流れるので、音楽が記憶のスイッチとなって、また作品に戻ってきたくなる循環が生まれる。俳優の細かな表情や呼吸と、OSTの盛り上げが合わさることで、短い話数でも深い余韻が残る。

この現在の強さは、2000年代の初期韓流から続く積み重ねの上にある。家族・友情・努力・正義といっただれにでもにでも分かるテーマ中心にしながら、食文化や学校・職場の雰囲気、社会問題や歴史の描写など韓国らしさを丁寧に重ねてきた。テレビからケーブル、そして配信と視聴の場が広がる中で、多言語字幕と同時公開が当たり前になり、このわかりやすさ+韓国らしさの組み合わせが、国境を超えて広がるスピードを一気に高めた。いまの短尺と高密度は、その文法を情報の多い時代に合わせて「速く、深く、無駄なく」届けるよう磨き直した形である。

社会への広がりも大きくなっている。世界で見られるほど「韓国=良いドラマを作る」というイメージは強くなり、一本の大ヒットをきっかけにロマンス、スリラー、ヒューマン、法廷、医療、時代劇などいろいろなジャンルの韓国作品を試してみる人が増えている。産業の面では、配信会社の長期的な投資や国内大手の大きな制作予算が、企画・脚本・撮影・編集・VFX・音響・音楽といった多くの仕事を生み、現場の技術を底上げしている。文化消費の面でも、ロケ地を訪ねる旅行や、ドラマに登場した料理を食べてみる体験、韓国語を学んでみる挑戦などの二次的な行動の活発である。ここでもOSTが記憶を呼び起こし、口コミや再視聴を後押しして作品の寿命を延ばしている。

その質を根本で支えているのが、俳優の演技の基礎力である。韓国には、韓国芸術総合学校(K-Arts)やソウル芸術大学など、声・発音、呼吸、体の動かし方、台本の読み取りをしっかり練習できる学校があり、学内外の公演やワークショップも多く、学生のうちから実戦型の練習を繰り返している。小劇場やミュージカルで経験を積み、声や身体だけでなく、間合い・視線・沈黙といった細かな表現まで磨いている。表情のわずかな変化も映し出すので、この基礎力がそのまま説得力につながる。リフが少ない場面でも、呼吸や目線だけで気持ちを伝えられるため、OSTと合わさって強い没入感を生む。

一方で、制作費という課題もある。ドラマ1話にかかるお金は、今ではだいたい13億ウォンと言われ、人気俳優の出演料は1話あたり23億ウォンが目安になることもある。お金の使い道は、企画や脚本の開発、出演者の費用、美術やロケ、撮影・照明・録音、衣装・メイク、編集やVFX・色の調整・音の仕上げ、音楽(劇伴やOST、権利の手続き)、宣伝などである。コストが上がると国内の制作本数は減りがちですが、そのぶん質の高い企画に絞る、海外と一緒に作る、あらかじめ販売先を確保するといった工夫で、むしろ長く続けられる体制を作ろうという動きも強まっている。

3.結論

韓国ドラマの世界的人気は偶然ではない。配信時代に合わせた設計が土台にある。世界同時配信と多言語字幕によって見つけやすくし、短い話数で中身を濃くすることで最後まで見やすくした。そこに音楽と俳優の確かな演技が重なり、強い感情移入が生まれる。一つの大ヒットが他の作品視聴へとつながる流れが形成され、二〇〇〇年代から培われた韓国らしさと普遍的なテーマの組み合わせは、現代に合った形へと進化している。

社会や産業への広がりも顕著である。配信会社の長期投資と国内大手の巨額予算により、脚本、撮影、編集、映像効果、音楽といった仕事が増加し、技術水準も向上した。さらに、ロケ地を訪ねる旅行、作中の料理を体験する食文化、韓国語学習などが広がり、観光や地域経済にも良い影響を与えている。このような動きが重なり、韓国は「良質なドラマを作る国」という印象を世界に定着させた。

この質を支える基盤が俳優の訓練である。発声や体の使い方、台本の読み取りを学校で学び、小劇場やミュージカルで経験を積む。そのため、カメラの近距離でも細かな表情や呼吸で感情を伝えることができる。音楽の設計と融合することで、短い話数でも深い余韻を残すのである。

一方で、制作費や出演料の高騰という課題も存在する。一本あたりの費用が増大すれば、制作本数が減少する可能性がある。ただし、優れた企画に集中投資すること、海外との共同制作、先行販売契約、作品世界の拡張などの工夫によって、持続可能な形を構築することができる。配信戦略においても、連休やイベントに合わせた公開や、データに基づく話数やジャンルの配分調整によって、効率的な運営が可能となる。

今後も選ばれ続けるために重要なのは、以下の五点である。第一に、短く濃密な物語をさらに磨くこと。第二に、音楽と演技で感情の流れを強めること。第三に、データを活用して配信方法と公開時期を決定すること。第四に、資金活用を工夫し、海外との共同制作を推進すること。第五に、人材育成と働く環境整備を徹底することである。

これらを総合的に実行すれば、韓国ドラマは「見つけやすく、見続けやすく、人に話したくなる作品」として、今後も長く世界で愛され続けるであろう。

4.参考文献