大学の友達とは違う何か特別な関係になった -市野寛樹-

韓日フォーラム 国際ワークキャンプに参加して

 

市野寛樹


 

私は奈良県の天理大学で韓国・朝鮮語を専攻しており、20123月から1年間、江原道の江原大学に交換学生として留学している。同じ天理大学から韓国へ留学している友達から誘われ、このワークキャンプの存在を知った。ワークキャンプについてインターネットで調べてみたものの、決して安いものではなく、年末の休日ということもあり初めはあまり乗り気ではなかった。しかし、人との出会いや多くの人達と過ごす事が好きで、ボランティアをしながら韓国語も上達すればと思い参加する事にした。

 ワークキャンプが始まると、知らない人ばかりなので当然自己紹介の機会が多かった。その自己紹介で、日本と韓国のちょっとした違いを感じた。韓国では日本に比べて年齢をものすごく重要視する。自己紹介の時もほとんどの人が名前の次に自分の年齢を話していた。年齢の言い表し方にも違いがあり、日本の場合大学生ならば「3年生」と言えば特別な場合を除いて自分の年齢を伝えることができる。それに比べ韓国では「90年生」など、自分の生まれた西暦を伝える場合が多い。また、韓国は日本に比べ休学する学生が多い。在学中であっても、その時自分のやるべき事が他にあれば休学してでも行うのだ。韓国は日本よりも休学に対して悪いイメージが無いように思う。このような学校制度は日本が見習うべき韓国の文化だと感じた。

また、韓国には兵役制度があり、ほとんどの韓国人男性は二十一歳頃に約二年間、軍隊に行かなければならない。このように休学の文化と兵役制度によって「大学~年生」で伝えるのが難しい事から、韓国では西暦で伝える言い表し方が一般化したのではないかと思った。日本と韓国では年齢が異なる。日本では生まれた時には0歳で、誕生日を迎えるたびに歳を取っていくが、韓国では生まれた時に既に一歳で、正月が来ると全員が一つ年を取るのだ。「90年生」と西暦で言う事は、日本の年で、韓国の年で、と考える必要がなく自分の年を相手に伝えることができる最も効率のよい言い表し方なのかもしれない。

 

 相手の歳が分かると、年上は年下にタメ口で話すようになり、年下は年上を「、「누나、又は「오빠、「언니」と呼び、敬語を使い始めた。タメ口と敬語の文化も、年下が年上に対して気を遣う事も日本と同じだが、年上の人の呼び方が違う。日本では年上の人の名前に「さん」を付けて呼ぶ事が一般的で、韓国のように「お兄さん)」や「누나(お姉さん)」とは呼ばない。ワークキャンプでは三十人以上が参加し、なかなか全員の名前を覚えることができなかった。韓国の「형」や「누나」は日本の「さん」とは違い、名前を覚えてなくても呼ぶことができる。さらに、日本のように「さん」をつけて呼ぶと、どこかかしこまった感じになってしまうが、「형」、「누나」と呼ぶとすごく近い関係で話すことができ、親近感もわく。出来ることなら早く全員の名前を覚えるのが最も良いのは当然だが、今回のように多くの人と一度に合う場合には「」、「누나」は便利で、お互いの距離を縮めてくれる一つの手段となった。

 

 今回のワークキャンプでは留学経験者が多かった。日本人は私のように交換留学中に参加している人がほとんどで、韓国人も留学経験者やワーキングホリデーで日本に長く滞在したことのある人が多かった。この三日間は、みんなで騒いだり、お酒を飲んだり、楽しくボランティアをしたり、本当に楽しかったが、お互い留学を経験しているということもあり、留学や他国で生活することについて真剣に話し合う機会もあった。中でも、四年間日本の大学で生活した韓国の方の話は、なるほどと思うことばかりだった。その方は、私のいる前で日本の大学には留学しないほうが良いと言った。少し日本を否定されている感じを受けたが、自分の思ったことをストレートに言うのは韓国の文化なので、なぜそう思うのか理由を聞いた。理由を聞くと納得することばかりであった。

前にも言ったように韓国の男子は様々な理由から二十一歳頃に軍隊に行かなければならない。その為、留学中であっても休学をして韓国に帰らなければならない。せっかく少しずつ友達も増えてきたのに、軍隊から戻ると再び人間関係を作っていかなければならず苦労したという。日本には兵役がないので韓国人であるからこその悩みや苦労だと感じた。そんな苦労をした彼は、留学中の私たちにすごく気を遣ってくれた。日本人留学生は留学生活が辛かったとしても、韓国人の前では気を遣って「楽しい」と言う、とその人は言った。

日本人の気を遣う性格の良くない部分だと思った。日本人は辛いことがあったら素直に相談し、韓国人は日本人の気を遣う文化を理解し相談に乗ってあげる事が大切だと言われた。出会って間もないのにも関わらず、ここまで私たち留学生の事を考えてくれていることに感動した。大学にいてはなかなかできない、留学経験者同士だからこそできる話で、私も自分の留学生活について正直に話すことができ、本当に貴重な時間を過ごすことができた。

 

今回は「日韓の違い」ということで、私がワークキャンプに参加して感じた様々な違いについて書いたが、実は「違い」よりも「共通点」をより多く感じた。面白い時にはみんな笑い、女の子はすぐ恋愛話を始め、男の子は初日から誰が好みかという話をする。方言もあり、お酒を飲む時ゲームをしたり、酔っ払ったら馬鹿な事をしたりと、日本と似ている部分が多いと実感した。話す言葉や文化には違いはあるが、途中から自分が何人であるか忘れるくらい溶け込んでいた。

ワークキャンプには、日本語がとても上手な韓国人がたくさんいたおかげでいつも助けられたが、自分の韓国語に関しては聞き取れない事や、自分の思いをうまく伝えられなかったことが多くもっと勉強しなければいけないと強く思った。

ワークキャンプが終わった今も、ワークキャンプのメンバーで頻繁に集まってご飯を食べたり、お酒を飲んだり、語り合ったりしている年越しもこのワークキャンプのメンバーとも一緒に過ごし、先日は日本料理と韓国料理をお互いに作り合って食事会も行った。相談したらすぐに助けてくれるし、大学の友達とは違う何か特別な関係になった。このワークキャンプに参加して日韓の違いや共通点はもちろん、日本と韓国についてすごく深いところまで考えさせられ、これからも韓国と関わっていきたいと思った。